季節の着分け
着物の柄だけではなく、着物の種類によっても着る時期はわけられています。
- 袷(あわせ)は裏地がある着物
- 単衣(ひとえ)は裏地がない着物
- 薄物(うすもの)は透け感のある裏地がない着物
雪のように冬だけではなく夏に涼しさを取り入れるため用いる柄もあります。
柄と種類の組み合わせに注意しましょう。
季節を先取りする
花の柄の着物は、実際の花が咲く半月ほど前に季節を先取りして着るのがおしゃれです。
季節に沿って着る柄と通年着られる柄
花が単独で描かれている場合、また花と共に茎や枝が写実的に描かれている場合は、季節にあわせて着るのがおすすめです。
花がデザイン化されている場合は、通年着られる場合もあります。
桜と紅葉など、春と秋を代表するモチーフが両方描かれている着物は、通年着ることができます。
着物初心者の場合は、通年着られる「四季の花が描かれた着物」「デザイン化された花が描かれた着物」がおすすめです。
蜻蛉(とんぼ)は夏の柄ですが、デザイン化された総柄の「蜻蛉散らし」であれば通年着ることができます。
着物と帯のコーディネートのコツ
柄にメリハリをつける
着物が大きな柄の場合、帯は細かな柄にするとメリハリがきいておすすめです。
同じく着物が細かな柄の場合は、帯を大きな柄にしましょう。
時代を合わせる
着物と帯を取り合わせる際に、「時代」を意識すると安定したコーディネートが完成します。
このように平安時代の貴族が用いていた御所車(ごしょぐるま)、御簾(みす)、几帳(きちょう)などが描かれている着物には、有職文様(ゆうそくもんよう)の一つである七宝などが合います。
ちなみに有職文様とは、平安時代から貴族の調度品、衣装に用いられた独特の優美な文様のことをいいます。
現代では、おめでたい柄として礼装などに用いられています。
着物に貴族が用いる調度品や車が描かれているので、帯には同じ時代の有職文様がピッタリ、という訳です。
着物と帯を合わせる時に「大正時代のレトロ可愛いコーディネートにしよう」と先にテーマを決めると、全体的な調和がとれるのがおすすめです。
物語を作る
紅葉と流水がセットになった柄を「竜田川」と言います。
竜田川は奈良県にある実在する川の名前で、紅葉の名所として有名です。
この柄は「古今集」の「竜田河紅葉乱れてながるめりわたらば錦中やたえなむ」に由来します。
百人一首にも同じく竜田川を詠んだ歌があるので、耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
当代きっての色男・在原業平(ありわらのなりひら)が詠んだ歌です。
この柄の組み合わせを知っていたら、流水の着物に紅葉の帯を締めて「竜田川」にしてみよう、という発想がわいてきますよね。
本サイト「着物の柄」では、定番の柄の組み合わせについても紹介しています。 着物には定番の組み合わせがあります。 知っておくとコーディネートのときに役立ちます。 以下に紹介したのは代表的な例ですが、モチーフの各ページにも「組み合わせることの多い着物の柄」「関連する着物の柄」を ... 続きを見る
ぜひ着物と帯を取り合わせる際に参考にしてみてください。
定番の柄の組み合わせ
着物と帯の格を合わせる
着物に対して、帯は同格、もしくは格上のものを合わせましょう。
一般的に着物の場合、織りの着物より染めの着物が格上です。
帯の場合は着物とは逆で、染めの帯より織りの帯が格上です。
「格」の違いや、その場にふさわしい着物と帯の組み合わせの詳細を知りたい場合は、大久保信子監修の「着物の事典」にわかりやすく書かれているのでおすすめです。
図書館で借りることもできますよ!
色を統一しすぎない
洋服の場合はモノトーンでまとめたりと色合いを統一してコーディネートします。
それに対し、着物は色を統一しすぎるのを避ける傾向があります。
帯揚げ、帯締めを明るい淡い色(ペールトーンカラー)にすると現代風の垢抜けた装いになるのでおすすめです。