注意ポイント
- 埼玉県立歴史と民俗の博物館の十二単体験は、抽選による体験です
- 年3回の不定期開催のため、急いで十二単を体験したい場合は向きません
- 気長に待てる、かつリーズナブルに体験を申し込みたい女性向きです
- 十二単・小袿の2つのうちどちらかを博物館側から割り振らられるため必ずしも十二単が着られる訳ではありません
十二単体験を申し込んだきっかけ
「40歳になるまでに十二単が着たい」
これは以前わたしが死ぬまでにやりたい100のことでリストアップした夢です。
氷室冴子先生の「ざ・ちぇんじ」「なんて素敵にジャパネスク」を読んで日本文学科に進学した元・文学少女として、充実に再現された十二単が着てみたい訳です。
そうなると結婚式の前撮りとか写真スタジオの貸し衣装とかはちょっとイマイチ。
そして検索の末たどり着いたのがこの「埼玉県立歴史と民族の博物館」で開催されている特別体験イベントだった訳です。
十二単の体験申し込み方法
往復はがきに住所氏名などを記入して応募します。
開催日時にともなって応募の締め切りがあるので注意しましょう。
埼玉県立歴史と民族の博物館の近日中のイベントのページの中から、開催予定の詳細を確認すると、応募方法が記載されています。
十二単体験の抽選結果
1回目の応募では落選しましたが、2回目の応募で十二単体験に当選することができました。
1回目はこのようにカラフルで目立つはがきで応募したのですが、結果は落選。
2回目は時間がなかったこともありシンプルなはがきで応募したところ、十二単の体験が当たりました。
人によっては1年かけて当選した人もいるそうで、十二単の応募倍率はかなり高そうです。
落選しても、当選しても往復はがきを使って結果が届くので安心です。
当選した場合は、期日までに参加確認の電話をします。
気になることがあれば参加確認の電話で事前に質問をしておきましょう。
わたしの場合は3歳の娘がいるので、夫と一緒に連れて行っても問題ないかどうかを確認しました。
(2019年3月時点の参加の流れです。必ず博物館の案内に従ってください)
十二単体験の当日の格好
- ピアス・指輪・腕時計などの装飾品は紛失したら困るので付けていかない
- 洋服の下にあらかじめ白い半袖のTシャツを着ていく
- 靴下
- スパッツを履いていく
- コンタクト装着
- しっかり目のメイク
十二単の一番下に着る小袖は白なので、同じく白色のTシャツがおすすめです。
首元が詰まっていないVネックであれば、着付けの時に見える心配もありません。
長袴で靴下が見えることはありませんが、衣装を傷めないためにも当日持参、もしくは履いていきましょう。
長袴の下にショーツそのままだと、なんとなくわたしが嫌だったため着ていきました。
着替える場所は男女に分けて配慮されていないようなので、肌が見えない格好をしていくと安心です。
十二単にメガネは似合わないので、自宅からコンタクトをつけていきました。
メガネの痕も鼻に残らないので、コンタクトがある人はつけていきましょう。
十二単が華やかなため、しっかり目のメイクの方が映えます。
特に口紅は赤系のマットなリップがおすすめです。
普段の服装から浮く場合はマスクをする、博物館のお手洗いでササッとリップをひきましょう。
グッとキレイになりますよ!
十二単体験の当日の持ち物
- 千円(体験代)
- 当選通知のはがき
- カメラ
- 髪の毛が長い場合は髪ゴムを持参する
動画撮影はできませんが、写真撮影は可能です。
スマホでも撮影はできますが、せっかくの機会なので性能のいいカメラがあればぜひ持参しましょう。
わたしはショートボブの長さだったので不要でしたが、髪が長い人は髪ゴムを持参しましょう。
十二単の着付けが終了したら髪を垂らして写真撮影をするため、髪に結んだ痕がつかないように気をつけましょう。
こだわりがある方はウィッグを持参しても楽しそうです。
(その場合は持ち込み可能かを博物館へ事前確認しましょう)
十二単体験場所とその周辺
十二単体験場所である埼玉県立歴史と民族の博物館は、大宮公園駅から徒歩5分かかります。
大宮駅から東武アーバンパークラインに乗り継いで向かいました。
大宮公園駅は平屋建ての趣のある建物でした。
駅前にはファミリーマートのコンビニが1軒だけある、こじんまりとした駅です。
駅前でなにか軽く食べてから行こうと思っていたのですが、なにもありませんでした。
大宮駅で先に昼食をすませておくか、博物館にもカフェが併設されているようなので、利用がおすすめです。
わたしは昼からの体験だったのですが、適当なランチ場所がなくコンビニでウィダーインゼリーを買ってすませてしまいました。
十二単の体験は重かったりお腹が締め付けられたりするのでできれば前もってしっかりと昼食と水分補給をすることをおすすめします。
大宮公園駅からは、グーグルマップと頭上にある博物館への標識を頼りに無事到着することができました。
十二単体験の流れ
博物館の正面玄関に入ると右手に「特別体験はコチラ」と誘導の表示があるのでそれに従ってすすみます。
受付の方に当選はがきを見せ、体験代を支払って十二単体験となります。
体験中は水分補給ができずトイレに行けないためどちらもすませておきましょう。
かさばるコートなどの荷物や貴重品は、前もってロッカーに預けておくとスムーズです。
撮影してほしいスマホ・カメラ、ロッカーの鍵はトレーに置いて目の届くところで管理してもらえるので安心です。
十二単の着付けは40分程度で終了します。
その後、写真撮影をして十二単体験は完了となります。
十二単の体験者
十二単の体験者は、一同に集まって一斉に行うのではなく、指定された時間が少しずつずらして2~3人を同時に行います。
見たところ、十二単体験は50代以降の小柄な女性の1人参加が多かったようです。
もっと若い20代くらいの女性が多いのかと身構えていましたが、アットホームな雰囲気で1人参加でもリラックスして参加ができました。
十二単の撮影
写真撮影を希望の場合はカメラと撮影者の同伴が必要です。
とはいえ、当日は娘が体調不良になってしまったため、今回はわたし一人での参加となりました。(夫は娘とお留守番)
「最後に1枚だけでも係の人に撮影してもらえたら助かるなぁ」と思っていたのですが、完全にご厚意で着せてもらっている途中から何回か撮影していただけて大変助かりました。
一生に何回もない機会なので、ぜひ都合がつけば撮影者に一緒に来てもらって写真撮影をお願いできると記念になります。
十二単を体験してわかったこと
長袴での歩き方
赤い長袴には横にスリットが入っているので、そこに手を突っ込み、内側から摘むようにして引っ張り上げます。
足を持ち上げて歩く際に、一緒に手で長袴も持ち上げて連動して歩きます。
そうすることで、けつまずいて転ぶことなく優雅に歩くことができました。
十二単は一本の紐が支えている
十二単は衣を重ねて着付けていく際に、上から紐を結んだらその下で支えていた紐を解きます。
そのため、最終的に使っている紐は1本だけになります。
「なんて素敵にジャパネスク」では、初夜を迎えた高彬が瑠璃姫の十二単をどうやって脱がせたらいいのかわからず慌てるほほえましいシーンがあります。
その時に瑠璃姫が「腰の紐さえ解けば簡単だから頑張って!」と内心つぶやくのですが、少女時代に「いったいどこの紐なんだろう……?」と思っていた疑問かこれで解けました。
十二単の重さは10kg超
知識としては知っていたのですが、やはり実際に着ると十二単の重さがリアルにわかってよかったです。
現在13kgの娘がおぶさってきた時よりも重かったため、体感14kgほどありました。
優雅に立っているように見えますが、実は重さに耐えられるように仁王立ちをしています。
中は半袖を来ていたのですが、3月の気温でもうっすらと汗ばむほどでした。
ずっと立っていると肩こりもハンパないですが、貴族は座って生活することが多く重さはあまり感じなかったのだとか。
またその日の気温によって自由に衣を脱いだり着たりしていたそうです。
十二単を脱ぐのは一瞬
着せてもらうのは2人がかりで大変な十二単ですが、実は脱ぐのは一瞬です。
腰の紐を解いたら、単の内側に両手をクロスして差し込みます。
そのまま手を外側に広げるように伸ばすと、重ねていた衣がバサリと落ちます。
まさに空蝉。
十二単はかしずかれて着付けられる
お姫様のようにかしづかれます。
というか、お姫様になりきることを求められます。
- 腕を上げない
- 着せてくれる人と口をきかない
- 着せてくれる人におじぎをしない
裏で着替える際に言い聞かせられるのですが、これがまた普段人にかしずかれることがないと難しいです。
そんなシーン、高級レストランくらいでないと体験できないですしね。
ついつい着付けられている時に「腕を上げておいたほうが紐が通しやすいだろう」とか余計な気を回して腕を動かしちゃうんですね。
身についた庶民感……。
十二単の着物の柄
十二単は、用いられた衣によって未婚か既婚か、またどのくらいの身分の人かどうかが遠目からもわかるようになっています。
今回着付けてもらった十二単は天皇に近い血筋にしか許されない唐衣の色に、裳には桐竹鳳凰という高貴な文様が使われていました。
十二単には有職文様がたくさん使われており見応え十分でした。
十二単体験まとめ
年3回の不定期開催ですが、十二単を忠実に着てみたいという方には本当におすすめです。
しかも都内で撮影すれば数万円はかかるところ、なんと千円という破格の安さ!!
少女の頃から「いつかは……」と思い描いていた夢を1つ叶えることができました。
着付けるのは大変でも脱ぐのは一瞬という実際に十二単を着た経験は、今後の平安モノ小説執筆にも活かせそうです。
また着物の柄について勉強したおかげで、有職文様の美しさと使われ方についても身近に見ることができました。
体験だけではなく、体験者に着せている様子を見学できるのでそれだけでもいい経験になること間違いなしです。
十二単の体験応募・日程はコチラ>>>埼玉県立歴史と民族の博物館 有職文様(ゆうそくもんよう)とは、平安貴族の衣装(束帯、十二単)や調度品などの装飾に用いられた優美な織り文様のことをいいます。 その由来から雅(みやび)でおめでたい柄として、現代でも礼装用の着物に多く ... 続きを見る
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